家族みんなで外に出る。父も母も茶愛も私も、みんな着ている服が赤い。この祭りはそういう祭りなのだった。

目的地に到着すると、もう人だかりが出来ていた。

所々にある屋台には長蛇の列ができているし、小さい子が風船を持って走り回っていたりする。

「お姉ちゃん、来て」

そう言って茶愛が私の手を引っ張る。きっと何が食べたいものがあってねだるのだろう。分かりきっていることなのに、私は断ることもなく茶愛に着いて行った。

「チョコバナナ食べたい」

「いいよ」

「やったね」

屋台のおじ様にお金を払ってチョコバナナをもらう。私の分と茶愛の分だ。

祭りに来ると家族みんな別行動になる。茶愛は友達と遊ぶのかと思えば違うくて、私の隣にずっといる。そして何か食べたいものがあればねだってくる。そういう奴なのだ。

まぁそれでも茶愛が食べたいと言うものは私が食べたいものばかりだから気にしていない。ついでに茶愛の分を買うんだと思えばなんともなかった。