「起きなさ〜い!」

一階から私を呼ぶ声がした。

仕方がなく私はベッドから起き上がり、制服に着替える。

少し暑いこの季節は9月上旬。

新しい学校が始まる。

今日は入学式だ!

「おはよう、お母さん」

「おはよう、白愛」

ダイニングテーブルには朝食が置かれていた。

今日も変わらず食パンにコーンスープ。私は椅子に座って手を合わせた。

「いただきます」

「召し上がれ」

母は目の前に座り、妹は私の隣に座った。

父は仕事に行った後だった。

食パンにイチゴジャムを塗りながら、今日の入学式を楽しみにしていた。

高校一年生になるこの秋に、私はテンション高く密かに舞い上がっていた。

隣では妹がいつも通り私を見て、ただ一言「引くわ」と言った。

「失礼な!」

相も変わらず私にだけ冷たい妹は中学二年生。

茶愛(さう)は生意気で優しくてどこか抜けていて、調子に乗ったら少しめんどくさい。

私とは似ていなくて可愛いし、モテている。

どうして私なんかの妹なんだろう。

両親は私たちのことを心から愛してくれている。

妹だけが私のことを嫌いなんだろうか。

「ごちそうさま」

妹はそそくさと朝食を食べ終わり、通学カバンを持ち、ローファーに履きかえ「行ってきます」と言い、家を出た。

「いってらっしゃい」

母はその姿を見送った。

私だけ何も言わなかった。いつもの事なのに今日は少し違うように感じたのだった。