天寺くんは、教壇の上に紙を置いてくれて、そのままそそくさと自分の教室に戻って行った。

「白愛!」

「ハヒッ!」

声が裏がえる。

私の後ろでは鬼の形相をした輝月がいた。

「ひ、輝月さん……? ど、どうしましたか…?」

「どうしたもこうしたもない!」

「ふぇっ!?」

怒った輝月は怖い。

それは一緒に過ごしていく内に少しずつ分かってきた気がした。

「委員の仕事に行く時は誘って!」

「な、なぜでしょう……?」

「重たい荷物を一人で運ぶつもりなの!? 人が多い方が、白愛も楽だと思うから。だから誘って! わかった?」

「は、はい……」

どうやら私に拒否権はないようで、輝月は凄く怒っていた。

そういえば数日前にも、こんな怒られたような気がする。

きっと輝月は私が男の子と居るのが嫌なんだ。

勝手に私がそう思っているだけなのかもしれないけれど、輝月は極端に私が男子生徒と仲良く話していたりすると話に入ってくる。

別に嫌いってわけではない。実際、そのおかげで男子生徒に話しかけられなくなっているのだから、輝月には感謝している。

独占欲が強いってこういう事を言うのだろうか。