真っ白な血

五限は歴史。

この国について説明してくれる授業だ。

「年一の祭りには参加するのが国の決まりになっている。少しでもサボれば罰則がある祭りだが、なぜこんな祭りをするのか気になるだろう。今日はそれについて学ぼう」

先生が黒板に文字を書いていく。

それを私たちは板書する。

「白は国王が嫌いな色なのはみんなも知っているだろう」

黒板には“白”という文字が書かれる。

「国王は“赤い人”たちのために白をこの国から消したいと思っている」

別に名前を呼んではならないとか、そんなルールがある訳では無いけれど、国民はみな口を揃えて彼らのことを“赤い人”と呼ぶ。

赤色を好むように見え、本当は白が好きな“赤い人”たち。

「その“赤い人”たちは俺たち人間と同じように生活している。彼らに気に入られれば幸せを手に入れられると言われているが、先生はそんなことないと思っている」

外見の特徴はなく、一つだけ言えるならば鎖骨の辺りに文字が浮き上がっているらしい。

直接、私が見たわけではないけれど、国民の間で噂が拡がっていた。

「謎多き“赤い人”たちだが、そこら辺にうじゃうじゃいるからな。気をつけて生活しろよ」

八重歯があり、鎖骨に文字があって、たまに白い瞳をする“赤い人”。

その後は少し聞き流していた。

「国王は密かに“赤い人”たちを嫌い殺したいのだから。国王に嫌われるか、“赤い人”たちに嫌われるか、どちらが正しいと思うか。それは君たちで考えるといい」

そういえば“あの人”も一度だけ白い瞳を見せたっけ。

先生の脅しにも気が付かず、私はただ“あの人”のことだけを思い出していた。