毎年毎年、私の国ではおかしな祭りがある。

毎年、誰もが疑問を持たずにその祭りを楽しんでいた。

「ねぇ、おかあさん」

幼心に疑問を持った私は、隣にいた母に問いかけた。

「どうしたの?」

とても美しいとされる母は、私の瞳をまっすぐに見つめてくる。

「どうして、こんな祭りをするの?」

その問いかけをすると、一瞬、母の瞳から光がなくなった。

まるで正気を失った人みたいに──

聞いてはならないと一瞬で悟った。だが、遅かった。

母は満面の笑みで、だけどどこか恐ろしく気味の悪い笑顔で私の問いかけに答えてくれた。

「“美しい人”たちのために……」

母は私を見て、すぐに空を見上げどこか遠いところ見た。

その先には国王。国民から絶対的な人気を誇る国王の前には白い花が置かれていた。

「私が愛してやまない“赤い人”たちのために……」

美しい花は見事に枯れており、茎には棘があった。

どこを歩いても見つけられてしまう白い花。

棘があり、容易に触れば手を怪我してしまう恐ろしい花。

誰もが愛してやまないその花は、美しく綺麗で、私は小さい頃からとても恐ろしかった。

「白い花は赤くしなければならない」

隣にいる母はゆっくりと話してくれた。

花火が上がり、楽しそうにする国民を眺めながら私は母の話に耳を傾ける。

「わたしたちがこれからも平和で生きていけますように」

より一層の大きな歓声でふと顔を上げると、ちょうど国王が白い花を赤く染めているところだった。

あぁそういえば、白い花を赤くしないと打首にされてしまう物語があったような気がする。

確かあの話は──

「夢ならば覚めて欲しいわね。ねぇ、そう思うでしょう?白愛(しう)

あぁやっぱりこれは──