ところが「次はおまえ」はあっという間に訪れた。


「理世、今日お財布持ってるでしょ?」

放課後、アキコがにやりと笑った。
小学校にはお金を持っていってはいけない規則になっている。しかし今日は母にお買い物を頼まれてて…

理世が答える間もなくアキコは理世のランドセルをまさぐり、コインケースを取り出した。


「…すごいじゃん!!」

中からでてきたのは千円札二枚と小銭が少し。
アキコの目が輝いてる。

「ちょっと…やめて…それは……」
「みんな聞いてー!!今日は理世ちゃんがおごってくれるってー!!」

アキコは理世の言葉を遮って千円札を抜き取って走り出した。

「おーすげぇ!!桜山、やるな。」
「さんきゅー」

「……」

こうなるともう何も言えない。二千円は一瞬にしてお菓子やジュースに化けた。

「財布を学校に持ってきちゃいけないって校則にもあったでしょ。理世がいけないんだからね。」

ただただ笑うしかない理世にアキコはこう言い捨てた。