理世ちゃんも、杏音ちゃんも、よくわからない。

私の知らない何かを、知っているのだろうか。

…そうだとしたら、それは私にどのように影響するんだろう。
気がかりでならなかった。

とにかく、この恋の障害物だけにはならないことを切に願った。
せっかく芽生えた恋、壊したくない。

いつのまにか自分の中にあった恋愛に対する一種の罪悪が消えかかっていた。

ただ、まだまだ性に対する罪悪感と嫌悪感はこびりついたままだった。


ふと、二人の姉の恋愛と性に関する価値観が気になった。

真面目がとりえのこの家に反発するような態度の理世ちゃん。

完璧少女とうたわれるような杏音ちゃん。

それから、お兄ちゃんはどうだろう。社会人なのにまだ結婚しないのかな。


それから弟の明は?…明はまだ子供かな…。


せっかく兄弟が5人もいるのに、年が離れているせいか、お互いのことを知り尽くすのは不可能で、なんだかさみしかった。

それに、お母さんからうける愛情も5人いれば5分の1で、やっぱりなにかものたりなかった。


そのせいか、余計に勇樹を想う気持ちが日に日に大きくなっていった。