もう６年前のこと。
僕が小学４年、杏音も小学４年の時だった。
当時、父親の仕事の都合上で急に転入してきた僕は、たちまちクラスのいじめの的となった。

メガネでチビで地味。

それに加えて運動神経も悪くて顔色もよくなかったから、今思えば僕は恰好のイジメの標的だったんじゃないかと思う。

とても耐えられるような感じじゃなかった。
最初はふざけ半分だったクラスメイトもどんどん本気を出してくる。

集団無視と聞えよがしなひそひそ話。
机に悪口が書かれたり、持ち物がなくなったり。

だけど他人には相談したくなかった。だって、弱い自分を認めたくなかった。

…僕にだってプライドがあった。

だけどそんなプライドが祟ってか、イジメはどんどんひどくなっていった。

学校の池につきおとされる。衣服を脱がされる…。


“平気なフリをしていればイジメはなくなる”
なんて、一体誰が言い出したんだろう。そんなのウソだ。

一向におさまる気配がないどころか日に日に悪化している。

たかが同級生に怯える毎日。そんななか、僕は光を見た。