「桜山さん、サッカー部のマネージャーやるらしいぜ」
「…じゃあ俺サッカー部入ろう!」
「俺も~」

当然、杏音ちゃんを男子が放っておくわけがなかった。

でも僕は中学以前の知り合いがここにはいないことをいいことに、
“杏音ちゃんとは同じ小学校出身で、しかも仲がよかった”
なんて言わないでおいた。

僕は、杏音ちゃんを友達として仲良くしたいのではなく、既に異性として仲良くしたいと強く思っていた。

だから、もう友達としての絡みは止めようと思っていた。

しかも…

「おはよ♪すぐる君!」

ほら、こうやって杏音ちゃんが話しかけてくると、何も知らない他の男子は羨望の眼差しで僕を見てくる。

それがちょっと優越感だった。