「学級委員~、誰か学級委員やらないか?」

新しく担任になった先生が新しいクラスを目の前にうろたえている。

面倒くさいのかなんなのかわからないが、揃って誰も手をあげない。

ななめ後ろに座っている杏音ちゃんを見ると、
「誰もいないならやってもいいよ」
みたいな顔をしている。(…ように見えた。)


「じゃ、いまそこの後ろ振り返った奴な。」

「…え!」

杏音ちゃんをもう一度見ると、まだ同じ顔をしている。僕がやるんだから一緒にやってくんないかな…

…っていうのは甘いかな…


「じゃぁ男子の出席番号が2番だから、女子は3番の奴でいいか?…えぇっと、桜山さん。」


「はい。よろしくお願いします。」

名前を呼ばれるや否や、杏音ちゃんは丁寧に返事をした。

…住む世界が違うっていうのはこのことだな。

僕はあっけにとられたままだったが、ともあれ杏音ちゃん一緒に学級委員ができる。

顔は平然を装っていたが、内心、爆発してしまいそうな位、先生に感謝していた。