バイオレットは仲間たちと久しぶりに楽しく過ごしていた。もうバイオレットを巻き込むのも悪いなと思い、フィオンの呪いについてはひとりでなんとかしようと心に決める。
 夜になってバイオレットに長老に聞いた話をして、これからのことを話した。
「月の妖精のところは、今度はひとりで行ってみようと思うの」
「あたしのことを考えてくれるのは嬉しいけど。でもやっぱメリンひとりじゃ心配だなぁ」
 バイオレットは相変わらず私の心配をして一緒に着いてきてくれると言ってくれた。
 素直に嬉しいけれど、月の妖精の元から私が帰ってこれるとも限らない。
 月の妖精が私のお願いを聞いてくれる代わりに、また命のかけらを差し出さないといけないかもしれない。バイオレットをひとりで帰すのは、今まで付き合ってもらったからこそ気が引けた。
「大丈夫よ。またあのトンボの妖精にちょっとお世話になろうと思っているし」
「それなら、なおさらあたしも行きたいじゃん」
 バイオレットはニカっと笑って言ってくれた。ずっと一緒にいてくれるという気持ちが伝わってきて、思わず泣きそうになる。誤魔化すためにぎゅっとバイオレットを抱きしめた。
 翌朝、私はバイオレットには言わずにひとりで仲間の元を出発した。