「ごめん、今のは無し。きっといろんな人に言われてるよね、好きだなんて。でも私、本当に」
 命を削って会いに来たと言おうと思ったら言葉が出なかった。
 突然言葉を切った私を心配そうに見るフィオン。
「どうした?」
 寿命を半分渡してきた、と言おうとしてもやっぱり声にならない。
 月の妖精の魔法のせいかしら。まだ魔法が完成していないから、制約があるのかもしれない。
 パクパク口を動かす私を不審そうに見ているフィオンだったけれど、咳払いをして先程の質問に答えてくれた。
「メリンを嫌いになどなっていないよ。命の恩人の妖精が会いにきてくれたのは素直に嬉しかったし。驚いたけどね」
 そうして微笑むフィオンに、私は思わず、「もうむり、好き」と言ってまたフィオンを困らせたのだった。
「フィオンは外見も素敵だし心も強いから、好きだなんて聞き慣れているんでしょう。だから愛らしい私の言葉にも惑わされないしキスもしてくれないんだ」
 エキザカムの妖精は皆愛らしいと決まっている。だから私は愛らしいと自信を持って言ったのに、フィオンに笑われてしまった。
「確かにメリンは愛らしいが……。心が強いとは初めて言われたな。嬉しいものだな」
 少し照れているようだ。
 今こそ、私がフィオンのことをどれだけ想っているか伝えなければならない。