支度の準備をマリーが手伝ってくれた。フィオンの屋敷に勤め始めてから、女性の身支度の仕事が初めてだからとマリーは張り切っていた。
　うっすらとお化粧を施してもらい、髪の毛は下ろしていこうと思っていたところを結ってくれた。
　マリーのおかげで新感覚の可愛い私になったと思う。
　いつもは寝ているバイオレットも珍しく起きて、「いいね！」とはしゃいでいた。
　おしゃれは種族を超えて楽しくなれるものなのだ。
　支度を終えてソワソワしていると、部屋にフィオンが迎えに来た。
　着ているワンピース姿を見ても、薄着だと言われなかったから合格なのだろう。
　お化粧と髪型のことには触れて欲しかったけれど、私の心はそれどころではなかった。
　「いってらっしゃいませ」と玄関でおじいちゃんとマリーに見送られた。
　せっかくなので馬車などではなく、自分の足で街を歩いてみたいと話すとフィオンはすんなり受け入れてくれた。