次の日も朝は元気に目が覚めた。
 マリーはまだ無理しない方がいいと言って、何度か休憩をとってくれた。
 お昼ご飯のサンドウィッチを二人で食べながら、マリーがずっと気になっていたんだけど、と聞いてきた。
「メリンさんってフィオン様とどういう関係なの? 執事長はご友人のご親戚だと言っていたけれど。荷物は少ないし、どう見ても貴族っぽくないし。押しかけ女房ってやつなの?」
 私は悩んでしまった。正直に話すには、妖精のことは内緒だし。そもそも押しかけ女房とは。
「押しかけ女房って何?」
 とりあえず答えよりも質問してみることにする。
「最近人気の小説の主人公が押しかけ女房なのよ。貴族と平民の身分差の恋だけど、田舎から出てきた主人公が貴族のお屋敷に転がり込んで最終的には結ばれるという話。私の勝手な妄想だけど、状況がメリンさんと一緒な感じがして〜。実際どうなの!?」
 マリーは少し興奮した様子で教えてくれた。
 確かに話を聞く限り似たような状況かもしれない。でも私は妖精だし……。
「それは……。確かに私はフィオンのことが好きだと伝えたくてやってきたのだけれど」
 しどろもどろで答えると、マリーは「やっぱり!」と勝手に納得していた。
「まさに押しかけ女房だ! 私応援するからね!」
 ぽかんとしている私をよそに、マリーは一人で話し続ける。