フィオンの家は、侯爵家という貴族の家だそうだ。貴族のことはよくわからないけれど、侯爵家といえど尊い血筋なのだとおじいちゃんが教えてくれた。どおりで私が好きになってしまうはずよね。その尊い血筋がどこからなのかは私にはよくわからない話だったけれど。遠くは王家の血を引いているとかなんとか言っていた。
 そしてフィオンはその侯爵家の次男なのだそうだ。お兄さんは半分隠居している両親と共に領地経営をしており、この屋敷にはいないらしい。この屋敷はタウンハウスで、王都で騎士の仕事をしているフィオンが暮らすようになったのだとか。そのため使用人は最低限なのだそうだ。
 おじいちゃんが、よければ家の仕事もやってみませんかと言ってくれたので、フィオンと過ごすにあたって人間界について勉強もしないといけないし、是非お願いしますと仕事をさせてもらうことになった。
 バイオレットは、ずっとラクして遊んでいればいいのにと言うけれど、もしこのままずっと人間でいられるのなら人間界のことは学んでおくべきだと思う。