しばらくしておじいちゃんがお茶のセットを持って戻ってきた。
 ベッドに入ったままの私にもお茶を淹れてくれる。
「もうしばらく休んでいたほうが良いかもしれませんね」
「ここに来た時は体が重たくて眠ってしまったけれど、よく寝たおかげかとても元気よ」
 にっこりして返事をすると、フィオンが私を覗き込んだ。
「今まで経験した事のない大きさの体だろう。まだ無理はしないほうがいい」
「なんでそんなに優しいの?」
「そう、か……?」
 戸惑う様子のフィオン。そんな私たちのやりとりを見て微笑むおじいちゃん。
「それで、君は妖精界にはどうやって戻るんだ?」
 フィオンが心配そうに私を見た。
 そうだ、大事な話をまだしていなかった。
「私、もう妖精界に帰るつもりはないの。フィオンの側にずっといるためにここに来たの」
 フィオンの上着を握りしめる。フィオンから目は逸らさない。私の決意を伝えるためだ。
「なっ! えっ!?」
 フィオンから素っ頓狂な声が聞こえた。初めて聞く声だ。
「やだ、なぁに、その声。フィオンったら」
 フィオンからそんな声が発せられるとは思わなかったから、思わず笑ってしまった。
「本当に可愛いわね」
 クスクス笑っていると、心なしがフィオンの顔が赤くなってきた。後ろでおじいちゃんもびっくりしている。
 私、失言したかしら。