「フィオン様の妖精話が本当だったとは」
 おじいちゃんが納得した様子で頷く。
「フィオン、私たちの話をみんなにしたのね」
 私との思い出を他の人間に話してくれたことがなんだか嬉しくて、涙が引っ込んだ。
 涙を拭くために目をゴシゴシ擦っていたら、フィオンがハンカチを差し出してくれた。ありがとうと受け取る。
 私たちの出会いと別れ、そのあと私がフィオンに会いたくて会いに来ていたこと。どうしてもフィオンの目を見て会話がしたくて人間の姿になる魔法をかけてもらったこと。事の顛末を二人に話すと、「そう言う事でしたか」とおじいちゃんが腑に落ちた様子で微笑んだ。
「なんと可愛らしい妖精さんに好かれたのでしょう。さすがフィオンさまですな」
 そう言って、お茶を淹れてきますと部屋から出ていった。
「あのおじいちゃんは誰なの?」
 私が聞くと、「執事のリーアムだ」と教えてくれた。