とにかく月の妖精に会ってみないことにはわからない。
 私はすぐに会いに行くことにした。満月まではまだしばらくあるけれど、その湖まで行って待っていればいいだけだもの!
 心配したバイオレットも付いてきてくれた。
「そんなおとぎ話みたいなことある? 死んじゃったりしない?」
 バイオレットは私の人間になりたい話をずっとおとぎ話だと言う。たしかにおばあちゃんが聞かせてくれたおとぎ話で海の妖精の話もあった。悲しい結末だったけれど。
 でも、夢は大きく持たないとね。
 もしかしたら夢が叶うかもしれない、だなんてとてもわくわくするじゃない。
 わくわくすることって、妖精の大好物。
「希望があるなら、私はそれに縋りつきたいよ。会って気持ちを伝えたい」
 妖精が恋をするなんて?
 ただの興味本位?
 でも一日中考えている。こんなにも胸を焦がされる。