そんな事をバイオレットに話していた。
 人間に変身してフィオンと一緒に過ごす夢は、どんどん大きく強くなっていく。
 フィオンに出会って季節がふたつ過ぎた。
 時々フィオンを見に行って、彼の顔の前を飛び回る。彼は全く気が付かない。それを確認して毎回落ち込むけれど、なんとかしてまたお話しするんだと決意を新たにする。
 そんな時、泉に遊びにきていた少し遠くに棲む瑠璃色の蝶の羽を持った妖精から面白い話を聞いた。
 強い魔力を持つ月の妖精。
 月の妖精の存在は知っていたけれど、強い魔力を持っているとは知らなかった。それに月の妖精がどこにいるかもわからない。
 その瑠璃色の羽の妖精が言うには、3つ先の山の頂上にある湖に月に一度、満月の夜に現れるらしい。
 私はそれを聞いて、飛び上がって喜んだ。これは絶対に、私が人間になってフィオンのもとへ行くべきという天の采配なのだと確信した。
 バイオレットはとても胡散臭そうにしていたけれど。