お願いだから、キスしてください!〜妖精だけど人間に恋をしています〜



「俺もメリンを悲しませるようなことをしてしまってすまなかった」
「そうね、私悲しかったわ。けれどフィオンが人気なのだから喜ばないといけないよね。もう少し広い心でいられるようにする。実家に帰るなんてもう言わないわ」

 ごめんね、とフィオンに謝るメリンは幸せな気持ちに浸っていたが、思い出したように抱きしめていたフィオンを自分から引き剥がした。
 
「実家に帰るとは言わないけれど、あの女の子は誰なのか教えてもらう権利はあると思うの!」

 フィオンは引き剥がされてしまったことを残念に思いながらも、メリンにはきちんと話さなければと緩んだ顔を引き締めた。

「あの女性は先日、道端でうずくまっていたところを助けた人だ。お礼が言いたいと屋敷まで来てくれたんだが、そこで眩暈がしたとふらついて。俺が支えていたところにメリンたちが帰って来たんだ」

 フィオンの説明にメリンはなんとなく既視感を覚える。助けてもらった自分と先ほどの女性が重なり、フィオンの優しさを嬉しく誇らしく感じる反面、あの助けてもらった出会いは自分だけではないのだと落ち込んでしまった。今更落ち込んでも仕方がないのはわかっているが。
 だが、自分が助けられた時のように素敵な男性に助けられたらときめいてしまうのは無理もない。メリンはそう考え、けれどフィオンにはもう私がいるから残念だったわねと心の中で先ほどの女性に対し勝利宣言をしたのだった。

「私も広い心を持たなければならないとは思うけど、フィオンはとってもとっても素敵なんだから、もう少し気をつけてくれないと私も困るわ」