「一緒に屋敷に帰ろう」
フィオンはメリンにそっと手を差し伸べる。メリンはその手を、初めて出会った時に差し伸べられた手のように感じ目頭が熱くなった。けれど今のフィオンの顔はあの時とは比べ物にならないくらい情けない顔をしている。その顔を見てしまえば、自然と笑みが溢れてしまった。
「もう、フィオンったらなんて顔をしているの」
差し出された手を握り返し立ち上がると、メリンはフィオンの頬に空いている手を添える。
「だめね、私の方がうんとお姉さんなのに。嫉妬なんかしてみっともなかった。フィオンをそんな顔にさせたかったわけじゃないの。ごめんなさい」
頬にちゅ、と口付けをすると、フィオンは人目も憚らずにメリンを抱きしめる。
「もう実家に帰るだなんて言わないでくれ……命が幾つあっても足りない」
フィオンの妖精界ジョークにメリンは声をあげて笑う。
「フィオンったら面白いことを言うわね。私の命じゃ足りないこと、よくわかってるわ」
「笑わせるために言ったんじゃないんだけど……」
耳元でモソモソ言うフィオンに、メリンはまた愛しさが込み上げる。フィオンの背中をトントンと優しく触れるとフィオンは尚更ぎゅうっと抱きしめる。

