一緒に働いていた時はこんなに堅苦しい話し方では無かった。メリンがフィオンと結婚し、マリーはメイドからメリン付きの侍女となった途端にマリーはきっちりと敬語を使うようになったのだった。これにメリンは寂しく感じ、今まで通りでお願いと話したところ、マリーに「ダメです。ケジメです」と頑なに断られてしまったのだった。
「ファンがいるだなんて、さすがフィオンね。私ももっと広い心で認めてあげないといけないのかなぁ」
キラキラと陽の光を反射する水面を眺めながらメリンは深いため息をついた。
その水面では水飛沫と一緒に妖精が遊んでいる。フィオンの屋敷の周りはメリンにとってもとても心地のよい場所なのだ。
「メリン」
マリーの返答よりも先に、メリンを呼ぶフィオンの声が背中にかかる。
振り返ると、夫が困り果てた顔をして立っていた。
メリンの隣に立っていたマリーはいつの間にかフィオンよりも離れて立っている。仕事ができすぎる侍女である。

