メリンにとっての実家とは妖精界の事だが、妖精界にマリーを連れて行くには今の自分では無理だった。実際、他に行くところもないし……と、結局徒歩で行ける屋敷近くの居心地の良い川辺に行くことにしたのだった。
「私たちも歩いてきてしまったけど、あの方は誰なのかしら。私のフィオンを渡すわけはないんだけど」
ムスッとしてメリンは川べりに座り込む。地面に座り込んでしまうのは未だに直せない癖である。
「奥様、ここではハンカチなど敷いてくださいな」
マリーがそっと差し出したハンカチを、そうだったと慌ててお尻の下に敷く。キョロキョロと辺りを確認するが、誰にもみられていないようで安心した。
「運良く誰にもみられませんでしたよ!」
マリーがいたずらっ子のように笑った。メリンもつられて微笑む。
「見たことのない女性でしたから、旦那様のファンとかではないかと」

