「でも私はうんとお姉さんだから、少しは頑張らないと」
 フィオンを慰めるようにいうと、フィオンは少しむすっとした声になった。
「君のその、うんとお姉さんというのはどのくらいお姉さんなんだ。10も上じゃないだろう?」
「うーん、100とかかな? 私たぶん100歳くらいだと思う。エキザカムの妖精は大体300年くらい生きるよ」
 ちょっと得意げに返事をすると、フィオンは私が引くくらい白い顔になった。そんなに驚くことかと私も驚いてしまった。
「いや、えっ、てっきり18くらいなのかと……失礼なことばかり言ってしまったな……」
「別に失礼なことは言われてないよ。もともとエキザカムの一族は年をとっても容姿があまり変わらないの。フィオンは優しいから、色々気にかけてくれてありがとう」
 たぶん、体を冷やすな云々のことを言っているのだなと思い、私はお姉さんだからそんなこと全く気にしないわと答える。
「でもね、寿命を半分月の妖精に渡してしまったから、人間の姿ではそんなに長生きできないかもしれない。それでもいい?」
「それならいっそのことすぐにでも結婚して楽しいことややりたいことをたくさんやろう。夫婦の方が何かと都合がいいだろうから」
 何でもないかのように言ったフィオンは、ハッと何かに気がついた顔をし、慌てて赤面しながら「プロポーズは改めてさせてくれ」と言った。