できるだけ存在感を消してそっと部屋に入ると、ちょうど入口側を向いて座っていた春陽さんが真っ先にこちらに気づく。
「おかえり、千夏ちゃん。」
「なっつん!?…今の、き、き、聞いてた!?」
璃汰は、私の顔を見るなり明らかに慌てふためく。
…ここは、聞いていないフリをするのが優しさかな。
「…聞いてナイよ?」
あ、しまった。声裏返った。
裏返った声を誤魔化すように咄嗟に咳払いをし、目を逸らす。
…まずい。ちょっと嘘っぽくなっちゃった…?
いや、案外いけてるのか?
みんなの反応を確認しようと視線を戻すと、真っ先に目が合ったのは私の彼氏様。
あ…どうしよう。
さっきのキスを思い出して照れる…────
…なんて暇もなく、彼は私と目が合うなり盛大に吹き出したのだ。



