「…────俺…暴走族の総長なんだ。」
コンクリートで覆われた部屋の中に、彼の声がやけに響く。
正直、この倉庫に連れてこられた時から何となく勘づいてはいた。
もしかすると彼は、私とは全く違う世界で生きている人なのかもしれないって…
だからなのか、思っていたよりもショックは少なかった気がする。
それでも…いざ彼の口からその言葉を聞くと、何を言うべきなのかわからなくなって…
黙り込む私の耳元で、彼はポツリポツリと言葉を紡ぐ。
「…最初は、バイク好きな仲間と集まって、ただ純粋に楽しんでいただけだった。
…でも、大人数でバイク走らせるとなると、やっぱりそういう界隈のヤツらが黙ってなくて…徐々に喧嘩を売られるようになって…
自分たちの居場所を守るために必死に闘ってたら、いつの間にかここまでの規模になってた。」



