あー、もう。
やっぱり私は、彼のこの無邪気な一面に弱いようだ。
意地悪されても、恥ずかしくても…
こんなに楽しそうに笑われたら、怒るにも怒れなくなってしまう。
「…もう。凌哉くんのバカバカバーカ。」
わざとムッと膨れてみせるけど、きっと私が本気で怒っていないことなんて彼はお見通し。
「千夏サン、語彙力小学生以下になってるっスよ。」
「うっさい、ばーか。」
色々な恥ずかしさを誤魔化すために、彼の広い肩に頭をぐりぐりと押しつける。
「痛い痛い」なんて笑いながら私の背中に回された左手は、とても優しく温かい。
そしてもう片方の手は後頭部に回され、私の髪を数回撫でた。



