｢ほんと久しぶりだね。
中学卒業以来かな？｣
｢あー、うん。
俺が通ってる所、地元の高校じゃないし…
なかなか会わないもんね。｣
｢そうだね。｣
久しぶりに再会した元同級生らしく、当たり障りもない会話をしてみる。
卒業してから今まで、〝もしまたどこかで会えたら何を話そう〟とか〝どんな顔をして会えばいいんだろう〟とか、沢山考えた。
…だけどそんな悩みもすべて無駄だったと思えるくらい、今こうして普通に会話できてるのは…
凌哉くんと出会って恋をして、私の中であの初恋を完全に過去のものにすることができたからなのかな…？
｢そうかー、千夏と同級生か。
…恭平は落ち着いてるからなー、そんな感じしないよな。｣
｢え、なに？
私が子供っぽいって言いたいの？｣
親戚のおじさんのような口調できょんちゃんのことを褒める凌哉くんに、私はすかさず突っ込む。
わざと怒ったように言う私に、｢ごめんごめん｣と笑いながら返す彼。
…ほら、こんな何気ない仕草や表情にも胸が高鳴る。
私はもう完全に、凌哉くんのトリコになっているんだ。
