蓮斗くんは、返事のない上司たちをまた睨むと、 私のカバンと上着を持って、強めに私の腕を引っ張って店を出た。 「どこ行くの?」 「何も考えずに出てきちゃった…」 「え?じゃあ、どこかで飲み直す?蓮斗くん飲みたいでしょ?」 「別にそういうわけじゃ…。苦しそうな優衣ちゃんが見てられなくて」 「あ。助けてくれたの?ありがとう…」 やっぱり蓮斗くんは、何を考えているのか分からない。 こういうところが、私の決意が揺らぐ最大の敵。 蓮斗くんの何気ない優しさ。