君に会いたくて……同じ時を過ごしたいと思って、ここに来たんだ。
 わがままなのはわかっているけど、一緒にいさせて欲しい。
 アイナの左手を両手で包み込み、水色の瞳をじいっと見つめてみる。
 彼女からの返事はない。
 ……急だし、やっぱりダメかな。
 それでもどうしても連れて行って欲しくて、アイナ、と小さく名前を呼んだ。
 そんな僕に対して、彼女は――

「いっしょに、いきましょう……」

 と同行を許可してくれた。
 一緒に行こうと言ってもらえたことが嬉しくて、僕の気分がぐんと上昇する。

「じゃあ行こうか」

 そうと決まったら、やっぱりダメと言われる前に出発してしまおう。
 ちょっと強引にアイナの手を引き、上機嫌に馬車へ乗り込んだ。