高校入学式。

ごく普通の高校生活を送るつもりでいた私の目の前に現れた、君。



「……何、桜?」

「は、はい?」

「だから、桜、見に来たの?」

「ま、まぁ、そんなところです……」



中学の時に仲の良かった友達とクラスが離れてしまい、落ち込んでいた私は、中庭にある大きくて綺麗な桜の木を見に来ていた。

桜にしか目に入ってなかったから気づかなかった。

桜を見に来ていた、もう1人の存在に。


「何組?」

「……えっ、さ、3組です」

「3組なの。じゃあ、クラスメイトだね。よろしく」