だから気づかなかった。 「化学基礎教えるからさ、」 彼の真っ直ぐな瞳を。 「そろそろいい加減にしてほしい」 彼の心の奥底の感情(おもい)を。 「俺、前にも言ったじゃん」 あぁ、前に進まず、立ち止まってるのは、私。 「友達止まりは嫌だって」 彼の切なげな表情を見ると、どうしようもない感情に埋め尽くされる。 「夏休み前には何とかしたかったけど、ゆい、無視してるじゃん」 逃げていただけ。 この関係が崩れるのが、私には一番嫌だった。