コンコン。
「もうホットケーキできたんかな?ドア開けよっと。」
みわちゃんがお部屋の扉を開けると、そこにはホットケーキを頭にのせた、とてもカッコイイ男の子が立っていました。
「あ、あんた誰?」
「みわちゃんが驚いて尋ねると、そのイケメンホットケーキくんは赤いマントをひるがえしながら言いました。
「お菓子の国からやってきた、ホットケーキ王子っていうんだ。」
「え?お菓子の国?」
「そうさ。とってもおいしいお菓子をいっぱい食べさせてあげるよ。僕についておいでよ。」
ホットケーキ王子は、歯をキラっと輝かせて微笑みました。
「あんたかっこええなぁ。さすが王子やな。」
みわちゃんは何の疑いもなく信じてしまったようです。
「王子様だからね。さあ、一緒に行こう。」
「ちょ、ちょっと待ってよ。あたし、ひとしくんと遊ぶねん。」
そう言いながらも、お菓子の国と、このカッコイイホットケーキ王子に興味が沸いてきて、みわちゃんはワクワクしていました。
「待たんかい。」
見ると、寝ていたはずのひとしくんが目をこすりながらホットケーキ王子をジロジロにらんでいました。
「みわちゃん、こんな得体の知れんやつに着いていったらあかん。ホットケーキの王子?意味わからん。お菓子の国?夢ちゃうねんから。アホかお前。」
ひとしくんは辛口にホットケーキ王子を非難しました。
「ひとしくんそんなん言わんときーよ。一緒に連れてってもらおうよ。なんやったらあたし一人でも行くわ。」
「オレと遊びにきたんちゃうんかい!」
「そうやけど・・・かっこいいやんか。」
「こんなマントマンのどこがやねん!オレの方がよっぽどかっこええわ!」
「うーん。。。」
本当はみわちゃんはひとしくんが好きです。でも、会ったばかりの怪しい笑顔にみわちゃんはときめいているのも事実でした。
「むかつくわー。オレが一番かっこいいって!」
「んじゃ一緒にお菓子の国に連れてってもらおうよ。それやったらええやん。」
「だから行かんって。」
「ホットケーキ王子はどう思う?」
みわちゃんが尋ねると、ホットケーキ王子はすっかり困惑した顔で言いました。
「僕はみわちゃんだけでいいんだけどね。ひろしくんだったかな?」
「ひとしや。」
「君もおいしいものをいっぱい食べたらいいよ。」
「納得いかんなぁ。」
「んじゃ決まり!三人でお菓子の国へ行こう!あたしはそれでいいで。」
「じゃあ二人とも僕のマントにはいってくれ。」
「え?ホンマに行くの?」
「ワン、ツー、スリー・・・」
「え?え?」
それっ!」