大きい音とともに、頬に痛みが走った。

ドンッ

体が突き飛ばされて頭が壁に強くぶつかる。…立ち上がれない。痛い。

「お前、誰に今口聞いてんのかわかってんの?」
目の前に影ができる。近い。怖い。
「チッくそ。こんなクソ女俺の方がいらねえわカス消えろ。」
心臓がうるさい。もう、恋愛なんてしたくない。しばらく、逃げていたい…。


そんなトラウマも覆してしまうのだから、恋って不思議だ。あんな事があったのに、うちは今恋をしている。

バチャッと冷たい水を浴びる。
目を覚まそう。あんなの、恋愛とは言えない。きっとうちと直也は付き合えないけれど、それでもいい。付き合うか付き合わないかはどうでもいい。
直也と、少しでも長く一緒にいたい。