「新原の卵焼き…焦げてね?」

「え、そう見えるかな?うち頑張って焼いたのに」

「新原が作ったの?」

「うん」

うわぁーーーーー!!りお〜!助けて〜!!
え、今うち普通に見えてるかな?ぎこちなくないかな?てか前髪チェックしてないけど大丈夫かな?食べ方変じゃないかな?

「叉月って食べ方可愛いね!」

「ふっ、食べ方に可愛いとかある?(笑)」

…………なんだあいつ。う、うちもああいう風にいくべきなのかな?でもうちがやったらキモくない!?直也そういうの好きなのかな…?

焼きそばパンをもぐもぐ食べてる。可愛い…。1口小さくない?女の子みたい。…なんか、クール系なのにギャップすぎん???これも言った方が嬉しいのかな?

「直也って1口小さくない?意外なんだけど!なんか…か、か…」

…………………

いや、むりむりむり!可愛いなんて言えない!なんか嫌味みたいになってないこれ?

「…………?そうかい」

………………

………………………………気まずい!!!

表情何一つ変えないし、食べ方も何一つ変えないし、ほんとに何考えてるのかわからない。

「新原、まだ全然残ってるけど食べないの?もう放課終わるけど」

あっ。

«キーンコーンカーンコーン»

チャイムが無情にも響き渡る。卵焼きとタコさんウインナーしか食べていない。ごめんお母さん…家に帰ったら、ちゃんと食べよう。
そう思いながら、お弁当の蓋をゆっくり閉めた。