人は、とても簡単に恋に落ちてしまう。そういう風にできているのだ。
しかし、神様は残酷で、運命というのは存在しない。
恋は戦いだ。自分から挑まなければ進まない。

この話は、両想いになるまで奥手女子が頑張る話である。


―春、新学期。
愛知県立中岩高等学校

「うわぁ〜!新学期かぁ〜!超楽しみ!」
この長いポニーテールの女の名前は新原奈緒、高校2年。好きな食べ物→苺とラーメン 頭の中がお花畑でいつもちょっと抜けている。後先考えないタイプ。


「…最悪、話せる人いないんだけど。」
この短髪男の名前は天野直也、同じく高校2年。好きな食べ物→フルーツ 淡々と話すタイプ。何考えているか分からないし、何に対してもやる気がない。頭はまあまあ良い。


「あれ?直也また一緒?」

この女はとても単純である。

「俺2組だけど。新原も?」
「うちも2〜!わ、奇跡じゃん!」

単純であるが故

「そう。まぁ話せる人いてよかったわ。」

すぐに勘違いをする。

(え!?うちがいて良かったってこと!?)

とてつもなく馬鹿である。

「よろしくね〜」
(てか、さっきから…)
「ん」
(目めっちゃ見てくれる…)
「それじゃ」
(あれ、直也って昨年もこうだっけ!?な、なんか…)

「かっこいい…」


恋をするタイミングは、よく分からないものだ。


一方、直也視点

「俺2組だけど。新原も?」
「うちも2〜!わ、奇跡じゃん!」

(新原か…。まあでも話せる人1人はいるのか。)

「そう。まぁ話せる人いてよかったわ。」

男は何も考えていなかった。
そもそも、目を見て話すことを当たり前だと思っているから、昨年は奈緒が自然に目を逸らして会話していただけである。

(うわー、やばいやばい、なんかやばい!)

この恋は

(3階か……階段長いな)

片想いからはじまる。