体育館に行くとたくさんの女子達が歓声を上げているのが聞こえる。私達は体育館上のギャラリーでバスケの試合を見ていた。


「紅羽君かっこいい〜っ!!」
「頑張れ!紅羽君!」
「紅羽君ー!頑張ってぇー!」


周りの女子が応援してる紅羽君ってどこ?私がキョロキョロ見ているのに気がついた夏希ちゃんが、丁寧に教えてくれた。


「今、ボールを持っている人をよく見て。」
「うん。」


言われた通りにボールを持っている人をじーっと見る。するとその人がパスを回す。


「パスされた人が紅羽君。」


ん?待って。見覚えが・・・。
夏希ちゃんが言った紅羽君を目で追う。赤茶色の髪。紅緋色の瞳。女子に向けるあの優しい笑顔。紅羽 凪君。間違いなく昨日折りたたみ傘を貸してくれたイケメン男子だ!少しずつ高鳴る心臓の音を聞きながらバスケをする紅羽君を応援していた。


「はあ、今日もかっこ良かった!」
「そうだね。咲薇ちゃん。」
「どうだった?菜野花。」
「シュート姿が良すぎて途中から死ぬかと思った!」
「「「 でしょ〜っ!!! 」」」


隣のクラスって言ってたよね。放課後に返しに行こうかな。もう昼休み終わっちゃったし。


「なんか、菜野花すっごい笑顔だな。」
「うん、スッキリした感じ♪」
「よかったね!菜野花ちゃん!」
「うん!」



よし、目標ができた!今日、折りたたみ傘を返すこと、そして、仲良くなること!香魅坂学園では、楽しく青春できそうです!