恋の雨宿り


今日の授業は全て終わり、もう下校の時間。また新しい友達ができた!どの子も明るくて優しい。


「菜野花〜また明日!」
「バイバ〜イ!菜野花ちゃん!」
「うん!皆、またね〜!」


今日はいきなり掃除当番。最悪だ。しかも教室。
早く終わらせて帰りたい。雨も降りそうだ。今日は傘を持ってきてない。


「なぁ、俺もう帰っていい?」


この人、誰?てか、私だって今すぐ帰りたいし。


「だーめ!てか、誰?」
「俺?如月 夕陽 (キサラギ ユウヒ)。よろ。」


如月 夕陽君か〜。よく見たらイケメン?かも?
癖のない黒髪に瑠璃色のぱっちり空いた瞳。
なるほど。でも身長もう少し欲しいかな。


「さっきから何?人の事ジロジロ見て。もしかして俺に惚れた?」
「うんん、全く。」
「酷っ!」


コレは、イケメンの無駄遣い。自分がイケメンなのを自覚してる人だ。ちょっと苦手だな〜。悪い人には見えなけどね。


「終わったぁ〜!!」
「うるさい」
「なんか言った?」
「別にー」


外を見るけどまだ降り出してない。
掃除も終わったし、もう帰ろう。


「じゃーね。如月君。」
「おう!またな。」

早歩きで学校を出る。
家までの距離は、電車で15分歩いて約20分。
まあまあな距離だ。新潟県の田舎の方で育ったから全然大したことでは無い。


しばらく歩いていると頭にぽつんと何かが当たった。もしかして雨降ってきた?
予想が当たり、大降りになってきたので近くのお店の前で雨宿りをさせてもらう事にした。早めに止んでくれると良いんだけど。それでも、雨は止むどころか強くなるばかりだ。どうしよう。


「あの、大丈夫?」
「え・・・。」


目の前に立っていたのは、同じ学校の制服を着たイケメン男子。赤茶色のナチュラルなマッシュヘアに紅緋色の瞳。やっば。


「これどうぞ。」


折りたたみ傘を笑顔で出す姿。
マジでかっこよすぎ。


「あ、ありがとうございます。」
「うん、じゃあね。」


手を振って去るとこも全部がイケメンだった。
名前聞けば良かったな。
また会えること願いながら、貸してもらった傘をさして、私は再び歩き出した。