恋の雨宿り


雨が降る日は嫌なことばかり。
外で遊べないし、ジメジメしてるし良い事なんて1つもないそれなのに雨に感謝することが起こるなんて。その時の私は何も知らない。


6月、丁度梅雨シーズン。
私は東京の香魅坂学園に転校して来た。
初日が肝心。絶対にぼっちはヤダ!
担任の早川先生に呼ばれたら教室に入って自己紹介。練習したから大丈夫!


「じゃあ入ってきて。」


よし!行くぞ〜!気合いを入れて思いっきり扉を開ける。もちろん皆が私に注目している。こんなので怖気付くわけないでしょっ。


「春衣 菜野花(ハルイ ナノハ)です!新潟県から引っ越して来ました。今日からよろしくお願いします!」


クラスの皆が笑顔で拍手をしてくれた。
ふぅ、噛まずに言えた自分を褒めたい。
とりあえず馴染めるかな。


「では、春衣さんの席は美波さんの隣です。美波さん手を挙げて。」


美波さんの席は1番後ろの窓側。私はその右隣。
正直めっちゃ嬉しい!しかも美波さんちょー可愛い。栗色の髪に下ツインテール。空色の瞳。


「私は美波 夏希(ミナミ ナツキ)。今日からよろしくね!分からない事があったら私に任せて!」
「ありがとう!よろしくね〜。」


夏希ちゃんか〜。絶対いい子。声も高めでおっとり。おまけに優しいて最高か?


「はい。では授業を始めます。今月はテストあるからしっかり取り組む。」


あぁ、一気に現実。とにかく、初日はちゃんと授業受けようかな。憂鬱になりながらもカバンから教科書を取り出した。