帰りの車の中で、ルームミラー越しに優しい笑顔を妃織に向けながら、晃洋さんはそう言ってくれる。

そうは言ってもなぁ。妃織の好きな物ばかりだと、飽きてしまいそうだ。
仕事をしながら料理のレパートリーも増やして、上手くなるように練習しよう。

そんなことを考えているうちに、車はマンションへと到着。駐車スペースに車を停めて、3人で部屋へと向かった。

すぐに夕飯の支度に取り掛かり、私がキッチンに立っている間は妃織と晃洋さんはリビングで遊んでくれていた。
キッチンに立って2人の姿を見つめているなんて、なんだか新鮮。

それに……妃織も晃洋さんに対して警戒心がまったくなくて、本当に助かる。


「ママ、おなかすいたよ」

「はいはい、もうできるから待ってね」


お腹がペコペコの様子の妃織は、私の足にまとわりついてくる。

「さぁ、できたよ」と言って出来立てのオムライスを見せると、妃織は飛び跳ねながら椅子に座った。
こんな風に自分から椅子に座ってくれるなんてことは、1ヶ月に3回あればいい方。

妃織の目の前にオムライスと野菜スープを置くと、目をキラキラさせながら「いただきます!」と言って両手をパチンと顔の前で合わせた。


「おぉ、本当に美味しそうだ」