けれど、俺にはそうならない確信があった。
専門ドクターなら誰にでも書けるようなありきたりな論文を提出しておいて、地位や権力を利用してのアメリカ行きが決まっていた宇田先生。俺がそのことを院内で言いふらせば、アメリカ行きがなくなるのは彼女の方だ。
あんな論文でも、アメリカへの切符を手にした彼女だ。
彼女にとっても、このチャンスを逃すようなことはしたくないはず。だから今回俺が暴言を吐いたことは、医院長には黙っておくはずだ。
「大丈夫。これで宇田先生が美優に絡んでくることはなくなると思う」
「よかった……ありがとうございます」
「いや。不安にさせてすまない」
「いいえ」と言いながら再びビーフシチューを口にした美優は、安堵の表情を浮かべている。
これにて、一件落着だ。
「ママ、おかわりしたい」
「あ、はいはい。妃織は本当よく食べるね」
いいタイミングでおかわりを要求した妃織ちゃんからお皿を受け取ると、美優は席を立った。
こんな何気ない日常が、俺は好きだ。
ふと横に目を向けると、口の周りにビーフシチューを付けた妃織ちゃんが、俺のことを見つめている。
「どうした?」
「……あ、あのね?」
いつもとは違った様子で、もじもじしながら俺に話し掛けてくる妃織ちゃん。
お、なんだ? なにかおねだりでもするのか?
専門ドクターなら誰にでも書けるようなありきたりな論文を提出しておいて、地位や権力を利用してのアメリカ行きが決まっていた宇田先生。俺がそのことを院内で言いふらせば、アメリカ行きがなくなるのは彼女の方だ。
あんな論文でも、アメリカへの切符を手にした彼女だ。
彼女にとっても、このチャンスを逃すようなことはしたくないはず。だから今回俺が暴言を吐いたことは、医院長には黙っておくはずだ。
「大丈夫。これで宇田先生が美優に絡んでくることはなくなると思う」
「よかった……ありがとうございます」
「いや。不安にさせてすまない」
「いいえ」と言いながら再びビーフシチューを口にした美優は、安堵の表情を浮かべている。
これにて、一件落着だ。
「ママ、おかわりしたい」
「あ、はいはい。妃織は本当よく食べるね」
いいタイミングでおかわりを要求した妃織ちゃんからお皿を受け取ると、美優は席を立った。
こんな何気ない日常が、俺は好きだ。
ふと横に目を向けると、口の周りにビーフシチューを付けた妃織ちゃんが、俺のことを見つめている。
「どうした?」
「……あ、あのね?」
いつもとは違った様子で、もじもじしながら俺に話し掛けてくる妃織ちゃん。
お、なんだ? なにかおねだりでもするのか?



