そんなことを思いつつ病院へ到着すると、自動受付機に診察券を通した。
A4サイズの用紙が出てきて、機械のすぐ隣に置いてあるクリアファイルに入れる。これが受診票になるらしく、会計の際に必要になるのだ。

宇田総合病院のシステムにもすっかり慣れてきて、診察券も一緒に挟むと放射線科受付へと向かった。


「お願いします」

「はーい。えーっと、川崎妃織ちゃんね。座って待っててください」


言われた通り放射線科の待合室に腰かけると、妃織は備え付けのパンフレットを取り出して眺め始めた。
ぶつぶつなにか読んではいるが、『骨粗鬆症』と書かれており、意味はわかっていない。

骨粗鬆症といえば。晃洋さんがアメリカのドクターに高評価を得た論文も、骨粗鬆症についてだったっけ。
『ビタミンD摂取と骨折の発生』についての論文で、それについて研究を重ねていたのだとか。

私には難しすぎてさっぱりわからなかった。唯一理解できたのは、中高年が骨折すると、必然的に骨粗鬆症の診断がつくということ。でも、これらを難なくまとめていく晃洋さんはやっぱりすごいのだと改めて思わされた。


「川崎妃織さん」


考え事をしていると放射線技師さんに名前を呼ばれ、骨粗鬆症のパンフレットをバッグにしまうと、妃織と一緒に検査室へ入った。