「大丈夫な訳ないだろ。バカか」

呆れたような物言いをしたのは鮫島くんだった。鮫島くんから逃げるように走っていった様、転けるなんて恥ずかしい。穴があったら入りたいとはこのことなんだろうと他人事のように考える。

「ほら、足出せよ」

え?足出せよって足を出すの?どういうこと?なんで、私が鮫島くんに足を出さないといけないのだろう。

「早く」

「はっはいぃ!」

鮫島くんはカバンから小さなポーチを出して私の傷口に絆創膏を貼ってくれた。
その絆創膏はピンク色の可愛い猫ちゃんの柄でとても可愛かった。

「あっ、ありがとう、、」

足を出せっててっきり何かされるのかと思った。疑って申し訳ないな、、。それにしても絆創膏を持ってる時点で女子力高いし可愛いのに柄まで可愛いのか。

「痛いの痛いの飛んでけ」

すると、絆創膏の上に軽く手を当てた鮫島くんから信じられないようなフレーズが口から出た。

「飛んでったか?」

鮫島くんがする行動とは思えずにポカンとしてしまった。
衝撃からかいつの間にか痛みは消えていた。痛いの痛いの飛んでいけって元気づける言葉だと思ったけど、こんな効果まであるのか。

「ふふっ、うん!ばっちし!」