(てか、、、、。兄弟揃ってドSってほんとに言ってる!?)

「まぁあ、それはどうでもいいとして、アザ見せてみろ」

そう言うと、開けていた玄関のとびらを押し除けて家の中に入ってきた。
リビングには、お母さんがいる。

そんな中私は、腕を掴まれて服の裾をだんだんとめくられ、探している手が肌に当たりくすぐったい。

「や、やめてっ、、、」

この力には、どう足掻いたって抵抗できなない。助けも呼べない。

そう思った瞬間、探っていた彼の手が止まった。彼が向ける視線の方を見ると、そこに居たのは夕凪だった。
「おい、兄貴。俺の波留に触んな」

助けに来てくれたんだ、とホッとした。
一瞬本当に取り返しのつかないことになるかと思い安心して私は胸を撫で下ろす。

「波留、行きましょう。」

夕凪は、私の手首を掴んで外に出た。
お母さんは、行ってらっしゃいと扉一枚越しに
いっていた。

夕凪の後ろ姿を私は見つめることしかできない。

「あ、あのぉ助けてくれてありがとうございます!えと、どこに向かってる、、?」

「、、、、」

(やっぱり、私の不甲斐なさに呆れて怒ってるのかな、、。)

朝から誰かともめごとなんて、したことがなかったからか凄く気まずい。
ここら付近周辺は、知っているからいいもののあんまり遠くに行かれると、帰りが難しいものとなるかもと私は不安を抱えていた。

その反面どこか出会ったことの無い場所に行けるかも、というワクワクもあった。
確実に夕凪に出会ってなかったらこんなことはなかっただろう。

夕凪は怒っているというのに、こんなことを考えてしまう自分が腹立たしく思えてくる。