「果穂ちゃん、いらっしゃい!」
「芳佳さん!」
「アルバム全部出してるわよ★」
バチッと飛んできたウインクに気分が高揚する。いきなり柾哉さんのお母様に会って次はお父様かと思っていたけど先に芳佳さんに会えて少し安心した。
「ちなみに、お父さん、今出掛けててまだ帰ってきてないのよ」
「人を呼びつけておいて?」
「あら。柾哉がこれほど早く来ると思ってなかったのよ」
「昼食の予定だろう?」
時刻は11時を少し過ぎた頃。昼食を食べたあと、午後から横浜でデートの予定だ。昼食を一緒に取ることも当初難色を示していた柾哉さんだけど、私が「いく」と言ったので渋々頷いてくれた。
「柾哉も一緒に見る?」
「…俺はいい。けど何を見せるのか気にはなるな」
「だったら一緒にみればいいじゃない」
私たちは案内されてリビングに通された。由紀子さんが出してくれたお茶をいただきながら、アルバムを捲る。
「…っ、かわいい!柾哉さんがちっちゃくて可愛い!」
「そうなのよ。昔はチビだったの!なのに高校生ぐらいになって急にメキメキと伸びちゃって」
そのアルバムは宝の山だった。どの写真の柾哉さんも全部可愛い。
よだれが垂れそうになって思わず口元を拭うと、芳佳さんに見られていたらしく笑われてしまった。
「果穂ちゃん、口元が」
「す、すみません!でもちっちゃい柾哉さんが可愛くて…っ!あ、今も十分可愛いですけど!!だけどかわいすぎてこれは、その、不可抗力…ですっ!」
慌てて訂正すれば、目を丸くした由紀子さんと視線がぶつかった。
不可抗力って、と笑われてしまう。
「ふふふふ。いいのよ。福原さん…いえ、果穂ちゃんって呼んでもいいかしら?」
「はいっ」
「あなたの目から見て柾哉は可愛いのね?」
さっきから終始無言の柾哉さんは私の隣にいるはずなのにその存在感を消していた。携帯を触って気にしていないふりしているものの耳は赤い。
「かわいいです!あととてもかっこいいです!お仕事してる姿も素敵ですし、いつも私を気遣ってくれるところも優しくて。…随分甘やかされてもらってます」
えへへ、と笑って誤魔化せば柾哉さんに「もういいから」と嗜められた。
「どうして?柾哉さんの素敵なところ、もっと伝えたいのに」
「じゃあ果穂は自分の家族に恋人から好きなところ伝えられて恥ずかしくないの?」
「実家に来た時、柾哉さん、散々話してたよね?」
「フフフ。果穂ちゃんもしかしてやり返し?」
「売られた喧嘩は買う主義ですよ!」
ふんすふんす、と鼻息荒くしていると芳佳さんと由紀子さんがくすくすと笑っている。柾哉さんを見上げれば「敵わないなあ」と呆れられてしまった。

