「緊張しなくていいよ」
「そんなの無理…!」
突然決まった家庭訪問(チガウ)。病院は基本土日の診察はしていない。
よって、千秋家の皆さんが揃い、かつ早めということで昨日の今日ということになった。
ちなみに芳佳さんも来てくれるらしい。「柾哉の小さい時の写真見せてあげるね!」とメッセージをくれた。だから私はその写真を見るためにお邪魔する意気込みだ。写真を見て、彼の小さな頃の様子を堪能してあわよくば写真を撮らせてもらおう。そしてこっそりスマホの待ち受けにしてみたりして。
「親父は偏屈だけど、母さんは姉さんと同じだから。姉さんがふたりいると思えばいい」
つまり、お父様と柾哉さんは似ているのだろうか。柾哉さんを偏屈だとは思わないが、多分思い込みが強いところや自分の信じた道を突き進むところは聞いている限り似ているようだ。
「ただ、面倒くさいことに巻き込んでごめん」
「ううん。それは大丈夫!」
「果穂の実家と比べると隔たりがあると思うけど」
「うちはうち、柾哉さん家は柾哉さん家。みんな違ってみんないい」
「なんかそんな詩あった」
助手席からハンドルを握る彼を眺める。私よりきっと柾哉さんの方が大変なはずだ。だけど今のところ表情は柔らかい。リラックスしているように見えるし、きっと大丈夫なんだと思う。
「すぐに帰るから、一時間だけ我慢して」
「大丈夫だよ。芳佳さんから柾哉さんの小さな頃のお話しを聞かせてもらうから多分一時間じゃ足りない…」
気遣わしげな視線に首を横に振る。私は大丈夫だ。なぜなら。
「柾哉さんが私のこと大好きって知ってるから」
昨夜もたくさんベッドで甘い時間を過ごした。たくさん愛されて今朝もぐずぐずだった。ベッドの中で「行きたくない」とごねる柾哉さんを宥める方が大変だったぐらい。
「でも、夜はいっぱい甘やかしてくれる?」
「喜んで」
信号待ちの合間に手を繋いで軽く唇を触れ合わせる。柔らかく微笑む瞳から伝わる愛情が私を強くしてくれた。

