「おはよう、果穂」
「…おはよ、いまなんじ?」
柾哉さんにふたたび散々苛められたせいで起きたらさらに時間が経っていた。なんて爛れた生活をしているんだろう、なんて思いながらも幸せなので構わない。
「もう三時過ぎたよ」
「…どおりでお腹が空くわけだ」
とは言いつつも、感覚的にはお腹の中にまだ何かいる。もちろん物理的に彼のゴニョゴニョはしまわれてしまったけど蠢いている気がするのは明らかに度が過ぎたせいか。
「…果穂がナチュラルに煽るから」
「私のせいにしないでよ」
ぶーっと唇を突き出すと「ごめんね」とキスをくれる。
キスしてくれたからいいよ、と胸を張れば小さな笑い声と共にいやらしくも何もない、軽いキスが落ちてきた。
さっきまであれだけぐずぐずになっていた蜜口も今はそれ以上必要としていない。それは彼の瞳を見ても一目瞭然だった。
「お詫びに、カルボナーラ作るよ。お風呂入っておいで」
「うん」
柾哉さんは一足先に起きて身支度を整えたらしい。それでも気になってずっと私の傍にいてくれらしい。
「無理させたって自覚はあるから」
「それを言うなら私も」
「うん。半分は果穂のせい」
真面目に真顔で言うから思わず吹き出してしまった。
「本当、小悪魔果穂は怖い」
「果穂ちゃんはスイッチが入ると柾哉さんを可愛がりたくてしょうがないんです」
まだ寝転がったまま柾哉さんを抱きしめる。私が冷えないよう、柾哉さんがいつものTシャツを着せてくれたらしく布ごしに感じた彼の体温がほんのりと伝わってくる。その心地よさに浸っていると腕の中で柾哉さんがもぞもぞと動き出す。
「…制限なく抱けそうだから離れる」
「えー。もうちょっとギュッと、して?」
「……ほんと小悪魔」
結局私たちはその後一時間ぐらいただくっついたまま取り止めのない話をして過ごした。

