自宅に着くと彼はテキパキと食事の準備を始めて約束通りカルボナーラを作って、はくれなかった。
玄関の鍵を閉めると後ろから抱きしめられてキスされる。触れた唇が離れる前にまた深いキスが落ちてきて咥内を嬲られた。
「……果穂」
離れていく唇を眺めていると柔和な視線とぶつかる。その奥にある見慣れた熱にときめきながら視線をわざと外した。見つめる先は少し濡れた彼の唇だ。厚すぎず薄すぎない、柔らかくて優しい唇だ。
「……柾哉さん、大好きです。私はずっと柾哉さんを応援しますから」
また唇が塞がれて、今度は私を抱き上げてしまった。首に腕を回してギュッと抱きしめる。彼の表情が嬉しそうにほころんで、すりすりと頬を擦り寄せた後、チュッとキスがひとつ落ちてきた。
「果穂が味方だと思うだけで心強いよ」
「何もできないよ?」
「傍にいてくれるだけで十分」
柾哉さんはいつものようにスタスタと寝室に向かった。それを補助するように寝室の扉を開けた。
「お腹空いてるよね?」
柾哉さんは私を静かにベッドにおろすとおもむろに衣服を脱ぎ始めた。言葉と行動がチグハグすぎる。その表情が違う意味で「ハラヘッタ」と言っているようでマットレスにくっついた腰がゾクゾクと震えた。
「お、なかは減ったけど…」
ブラウスにスカート、ストッキング。
まだ一枚も脱いでいない私の目の前に、しっかりした体躯が顕になる。その肌に迫られれば簡単に「NO」とは言えない。
「けど?」
「……カルボナーラは後回しでいいよ?」
その代わりちゃんと作ってほしいなぁ、とおねだりはする。だって今日はそれを楽しみに仕事を頑張ったから。
「善処するよ。けど、明日になるかもしれない」
ごめんね?と言いながらブラウスのボタンをひとつひとつ丁寧に外していく。その様子を眺めているうちにあっという間にむき身になった。
「…明日になるの?」
「だめ?」
広げられた両手に飛び込むように彼をキツく抱きしめる。
胡座をかいた彼の脚の間にすっぽりとお尻を落としてぴったりとくっついた。
「…だめじゃない」
「じゃあ、明日の昼飯にしようか」
「今夜は?」
何も食べないの?と聞けば俯いた顔に小さく笑われる。そして何度か唇を喰んだ彼が蕩けるように微笑んだ。
「今夜は果穂を堪能させて」
いい?と投げられた質問に答える代わりに彼の首をギュッと抱きしめる。それ以上に私を抱きしめる腕の力が強くなり多幸感で胸がいっぱいになる。

