千秋先生は極甘彼氏。



 

 少し冷めかけた身体に熱がぶり返したのはそれからすぐのことだった。
 大きく広げた脚の真ん中に彼の指があてがわれた。ぷくっとした蕾をクリュクリュと撫でられる。柔らかな花弁を宥めるように指の腹を滑らせていく。

 「ぁあ、」
 「ここ、気持ちいでしょ?」
 
 二本の指に優しくあやされたそこがおいおいと哭き出した。私の中に静かに潜り込んだ指がお腹側の壁を擦る。なんか変な感じだと思っていたのは最初だけで次第に溢れてくる粘着質の涙が彼の手の平を伝いシーツを汚した。

 「ぁあっ、まって」

 さっきから燻って弾けそうになっていた火が大きく燃えがある。身体の中に抱えていた爆弾が弾けそうで怖くなった。

 「ま、さやさ…っ」

 彼の両腕を掴んでいた手を首に回す。怖くてどこかに飛んでいきそうで咄嗟にしがみついた。

 「イッていいよ」
 「や、こわ…っんふぅ」

 大丈夫だよ、とキスが落ちてくる。唇が塞がれて不安でいっぱいだった心に安心感が広がった。何かを堰き止めていたストッパーが外れた。

 その瞬間。

 「っ?!ぁあっ、ぁあああ」

 目の前が真っ白になって何かが弾け飛んだ。

 全身が怠くて力が入らない。それなのに高揚した気分が落ち着かないという変な症状。ぼんやりとした頭でただ私を見下ろす千秋先生を見上げる。

「イッたね」
 
 これがイクってことなんだ。
 私はよくわからないまま小さく頷いた。喋る気力もないほどエネルギーが吸い取られた気分だ。

 「初めてイッた?」
 「…うん」
 「ふーん?」

 千秋先生が何やらニヤニヤしている。不思議そうに見上げていれば口元を隠して目を逸らした。

 「違うんだ。その、どうしても元彼のことがチラついて。しょうもないけどどこか張りあってる自分がいる」

 ダサいよな、と千秋先生が苦笑している。
 力の入らない身体をなんとか起こして彼の唇にキスをした。

 「好き」
 「…果穂」
 「大好き、柾哉さん」
 「…っ、ほんっとうに、あなたは」

 千秋先生の腕が甘えるように巻きついた。ぎゅうと肌をくっつけて求め合うようにキスを繰り返す。

 「あのね、元彼とはちゃんとエッチできたことがないの」

 千秋先生がゴソゴソと避妊具を着けている後ろから黙っていたことを白状した。言ったほうがいいのか言わないほうがいいのかわからなくてずっと黙っていたけれど、千秋先生が安心するなら、あんな男の残像と戦うぐらいなら言ってしまおうと思った。

 「緊張しすぎてできなくて。そしたら浮気されちゃった」

 敢えて明るく言ったつもりだったのに驚いた彼の目が真剣だったことに戸惑った。

 「私、その人しか知らなくて…。だからその」

 あぁ、なんか泣きそう。

 思わず俯けば逞しい腕が抱きしめてくれる。そして、どこか喜びを滲ませて「もういいよ」と言葉を遮った。