千秋先生は極甘彼氏。


 それをここで言うの?!
 と、驚きながらも結局のところそれ以上恥ずかしいことするのに、と開き直っている自分もいる。

 千秋先生は私を抱いたまま器用に寝室の扉を開けると真っ暗な部屋を迷わず進んだ。

 「果穂」
 
 「ほら、キスして」と頬を差し出してくる彼が可愛い。

 (……もう、どうにでもなれっ)

 足りない分が何回かわからない。
 わからないからこそどうすればいいかわからない。

 「唇にもしてよ」

 千秋先生は私を抱いたままベッドに上がり腰を下ろした。スプリングが軋む音を聞きながら目線が下がる。その視線の先には彼の唇がある。

 「ほら。100回ぐらいしてくれないと」
 「そ、それは言い過ぎ、」
 「じゃあ覚えてる?」
 「お、覚えて…っ柾哉さんは」
 「覚えてるよ。101回」
 「…なんで1回増えたの」
 「俺がして欲しかったから」

 初めこそわちゃわちゃした空気だったのに、しっとりとした声に乞われてしまえばどうすることもできなくなる。

 額がそろりとくっついた。髪がさらりと揺れて洗い立てのシャンプーの香りが鼻をくすぐる。目の前には仄かな欲を灯した甘い瞳。どうしたもんかと目を逸らした。

 「果穂」

 咎めるような声に観念するように目を閉じて唇を押し付けた。さっきまでのようなただ触れるだけのキスをする。

 だけど何度か唇の角度を変えて重ねていくうちに濃厚なものへと変容していく。

 「ふっ、」

 唇が優しく喰まれて歯に彼の唇が触れた。優しく撫でるように舌が辿る。おずおずと受け入れれば咥内に彼が入ってきた。

 「果穂」

 甘く痺れる響きに胸が騒めく。呼ばれるたびに幸せを感じた。ぎゅうと抱きしめられてより一層喜びに包まれる。頬に添えられた手が、腰を支える腕が壊れものを扱うように大切にしてくれる。

 これから始まるコトはほとんど知らないこと。怖いはずなのに身体から力が抜けていく。

 (わたしからもいいのかな)

 彼の首を抱いて「もっと」とキスをねだってみた。重なった唇を「はむっ」と喰む。薄目で見ていれば驚いた彼が嬉しそうに笑い、唇が離れると耳や首筋にキスが落ちてきた。